年金を免除する方法は?支払いが難しくなったら申請しよう

年金保険料の加入期間と支払額によって、老後に受け取れる金額に差が出ます。現在、月々の年金の支払いが難しいけど、老後の受給額も心配。そんなときは、年金の免除申請という方法があります。申請するかどうか、将来に向けて検討しましょう。

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年金はどのくらい払ってどのくらい貰えるのか

保険料を支払うタイミングによる

老後に受給できる年金は、支払い額や加入期間などで異なります。通常20歳以上になると、国民年金を支払う義務があり、加入手続きが必要です。しかし、20歳ではまだ学生で、厚生年金に加入できない方がほとんどで、その場合は国民年金になるのですが、学生だと月々の支払いが大きな負担になります。卒業後に社会人になって、初めて年金を支払う方が多いことが現状です。 そこで「学生給付特例制度」というものがあります。20歳の国民年金加入時に、学生の場合は同時に申請すると、猶予が受けられます。将来、老齢年金を受け取るためには、決められている受給資格期間が必要ですが、この学生給付特例期間中も、その受給期間に含まれます。 申請せずに、親が学生の子の年金を支払う方もいますが、支払いもせず、学生給付特例制度の申請もしないと、その間は滞納扱いになります。20歳になって学生の場合は、学生給付特例制度を毎年申請することをおすすめします。

年金の受取金額と受け取り開始年齢

将来、受け取ることができる年金を「老齢年金」といいます。この老齢年金の受給開始年齢は、一般的に65歳からとなります。しかし、希望により60歳から繰り上げて受給することが可能です。 早く受給できることは嬉しいですが、本来は65歳での受給となっているため、それよりも早く受給することで、年金額は減額になってしまいます。65歳の時点の受給金額を100%として、年齢にもよりますが、たとえば60歳で受給に変更した場合の受給額は、70%ほどに減ってしまいます。実際に繰り上げて受給している人数は、全体の30%ほどになります。 また、その逆で繰り下げ受給制度もあり、こちらも利用できます。年齢により違いがありますが、65歳で受給できる金額を100%として、70歳まで繰り下げて受給する場合、42%増額で受給することができます。金額だけ見ると、繰り下げにしたほうがお得になります。 しかし実際には、繰り下げにしている人数は全体の約1%ほどで、ほとんどの方が選択されていません。年金受給は、一般的な65歳から受給を希望するという方が、実際にはまだ多いようです。

保険料平均受給額が約55,000円

老齢年金の受給額については、個人差があります。2017年現在、国民年金の場合で、1ヶ月あたりの平均受給額は、約55,000円ほどになります。ずっと自営業などで厚生年金の受給権を持たない場合は、もう少し金額が低くなります。受給するためには、25年以上年金を納めていなければならないという条件がありましたが、2017年10月からは、10年以上納めていれば受給可能に変更されました。 一方会社員などで、厚生年金に長く加入していた場合の平均受給額は、14万5,000円ほどとなっており、国民年金に比べて大きく差があります。厚生年金は男女間でも差があり、男性平均で16万6,000円ほど、女性は結婚出産などで働く期間が男性より短い傾向もあり、平均で10万2,000円ほどです。 老後に働いて生活していくことは、とても大変なことです。そのときの体力、精神力も若いときのようには動けません。そんな老後の生活を手助けしてくれるのが年金です。金額に個人差はありますが、将来の生活を考えて、今どうしていくのかを考えることが大切です。

保険料の支払いが厳しい場合

保険料を未納とする

20歳以上で、年金の支払い義務があるにもかかわらず、納付しない場合は未納となります。以前は25年以上納めていないと、老齢年金の受給資格はありませんでしたが、2017年10月から法改正により、10年以上納めていれば可能になりました。しかし、未納があって受給資格の期間に達していないと、将来もらえる予定の老齢年金を受給できないことになります。 また未納で滞納が続くと、財産を差し押さえますという督促状が届きます。そのまま放置して支払いをしないと、特別催告状が届き、本人の口座凍結だけではなく、配偶者や世帯主の給与なども差し押さえするという連絡です。 この時点でも払わずに連絡を無視すれば、次は期限付きの督促状が送付され、延滞金とともに、実際に財産を差し押さえられる可能性があります。督促状が届いたら、支払いできなくても、必ず市や区役所、年金事務所などへ連絡して相談するようにしましょう。

年金保険料の免除制度を利用する

退職して新しい仕事が見つからなかったり、そのほか経済的な理由などで、保険料の支払いが困難になる方もいます。そのときは免除の申請をして、審査を受けましょう。審査の結果、支払い困難と認められれば、全額または一部の年金保険料を免除してもらえる制度があります。 免除が決定した場合、その期間も、老齢年金の受給資格の期間には含めてもらえます。免除期間中は、将来受け取る年金の額はもちろん少なくなりますが、一部は支給され受け取ることができます。 支払いが難しいからとそのまま未納を続けていると、将来年金が受け取れないばかりでなく、差し押さえの対象になってしまいます。手続きも簡単ですので、支払いができなくなったときは、免除制度に申請するようにしましょう。

年金保険料の免除制度について

保険料を払わず年金を受け取れる制度

免除制度は経済的に厳しくなり、年金保険料を納付できなくても、免除の対象として認められれば、老齢年金の一部を受給できる制度です。保険料を払わなくても、将来老齢年金を受け取れるありがたい制度なので、必ず相談に行って申請しましょう。そのまま未納の状態にしていると、老齢年金だけではなく、もしものときの障害年金や遺族年金などが受け取れない場合もあります。 審査は自分だけではなく、配偶者、世帯主など家族の所得も調査対象になります。経済的に困っていて、保険料は支払えないのに贅沢な生活をしていたり、家族は経済的に余裕があるなどは、認められないことがありますので、注意しましょう。

免除制度の対象

申請をしたら、保険料の納付が実際に難しいかどうかの審査があります。所得額はもちろん、家族構成も審査の対象です。特例として、震災や災害によって、住宅や家財の被害額が1/2以上の場合や、失業中の場合、配偶者に暴力を受けている場合などは、所得は関係なく、免除の対象になります。障害があり、特別障害給付金を受給している方も特例に含まれます。 配偶者や世帯主の所得状況によっては、全額免除は却下される場合もありますが、そのかわり一部免除を受けられることがあります。また、学生は「学生納付特例制度」があるため、免除対象にはなりません。学生の間は学生特例を申請し、免除ではなく猶予扱いになります。

免除後の保険料支払い額

それぞれの所得や状況によって、保険料がどのくらい免除されるかが決定され、2〜3ヶ月後に「承認通知書」または却下の連絡が郵送されます。全額免除対象は所得の目安が、(扶養家族の数+1)×35万円+22万円以下の場合と、特例の場合になります。所得の目安は世帯構成によって異なるので、その点の審査もあります。 そのほか、全額免除にならなくても、一部の負担の支払いでよくなる場合もあります。全額免除以外では、3/4の免除は78万円+社会保険料控除額等(年末調整で申告した金額)、半額の免除は118万円+社会保険料控除額等、1/4の免除は158万円+社会保険料控除額等が目安になり、審査が行われて支払額が決定されます。

免除制度適用の場合の年金受取額

免除が適用された場合でも、老齢年金を受給できる資格があります。年金受取額は、受給予定額全部にはならず、一部になります。それでも、未納や受給資格可能の期間を満たさずに受給できないよりは、とても助かります。免除制度を受けていれば、万が一のときの障害年金や、遺族年金も受け取ることができて安心です。 2017年の時点では、全額免除の場合で、受給予定額の半分の老齢年金が受給できます。3/4の免除で、年金受給予定額の5/8、1/2免除の場合で6/8、1/4の免除で年金受給予定の4/8が受給できます。免除してもらえる期間は、年金受給資格期間に加算されるだけではなく、老齢年金の受給もできますので、とてもありがたい制度です。

免除制度の申請において大事なこと

役所に相談する

まず、経済的に保険料の支払いが厳しくなったら、早めに市や区役所の年金課または、年金事務所へ相談します。そのまま放置していると、支払い義務があるのに未納と判断され、差し押さえの督促状が届き、延滞金も発生します。まずは、支払いが厳しくなったらどうしたらいいのかだけでも、相談にのってもらいましょう。 そこで免除の話が出て、申請することにしたら、申請書に記入をして、必要書類と一緒に提出する必要があります。窓口に相談に行った際に申請書を受け取るか、電話で確認して郵送してもらいましょう。また年金機構などのホームページから、ダウンロードすることも可能です。申請を決めていなくても、相談にはのってもらえますし、いろいろな提案もしてもらえます。困ったときは、気軽に相談しましょう。

申請に必要なものを確認する

相談の結果、免除を申請することに決めたら、申請書を準備します。そこに、自分の状況を正確に記入します。記入漏れや間違いがないように、しっかり再確認しましょう。相談に行く、もしくは電話をすれば、申請書と一緒に提出が必要な書類についても教えてくれます。 申請には、年金手帳のコピーの添付が必要です。氏名、年金基礎番号が記載されているページをコピーします。失業した場合は、離職票のコピーも必要になります。免許証または保険証などの本人確認書類や、場合によっては書類がほかにも必要になることがありますので、自前に電話などで確認することをおすすめします。添付書類もそろっているか、申請前にもう一度しっかり確認して、提出または郵送します。

免除申請を行える時期を確認する

年金保険料の免除申請は、納付期限から2年を過ぎていなければ、さかのぼって免除の申請を行うことが可能です。過去に未納のままになっている分があるときは、期限を確認し、2年未満であれば申請をすることができます。免除の申請をせず未納のままだと、老齢年金だけではなく、障害基礎年金や遺族基礎年金などの、万が一の場合に受け取れるはずの給付金も、受け取れなくなってしまいます。 免除申請は、毎年7月から翌年6月の分が、その前の所得で審査されています。現在職に就いていても、審査期間は失業中で、未納が残っている場合はぜひ申請しましょう。

年金免除のメリット・デメリット

メリット

1.免除期間も受給年数資格の期間(25年)に含まれる

年金保険料の支払いの免除申請をすると、さまざまなよい点があります。老齢年金を受給するには、通常25年は年金保険料を払っていないと受給できないという、受給資格可能な期間が決められています。2017年法改正が行われ、10年以上支払っていれば、25年に満たなくても可能と変更になりました。しかし10年といっても、この受給資格可能な期間に1ヶ月でも満たないと、65歳になってもまったく受給できず、支払った分の年金保険料が無駄になってしまいます。 支払うことが難しくても、免除申請をして認められれば、その免除期間は納付している期間と同じように加算されます。そのまま未納状態だと、もちろん受給資格の年数にはカウントされません。確実に老齢年金を受け取るためにも、申請しましょう。また自分の状況が分からず知りたい場合は、日本年金機構のねんきんネットで確認できます。

2.減額分の1/2を払ったとみなして年金を受け取れる

年金保険料が免除になった場合も、将来受け取る老齢年金は受給できます。申請を出し審査の結果で、全額免除か一部免除か決定しますが、減額にしてもらった分の2分の1は、国が税金から払ってくれます。保険料は免除してもらえ、老齢年金も受け取ることが可能です。一般的には、全額免除の場合は、受給予定額の2分の1を受給することができます。 申請をしないと、支払い能力があるのに未納と判断されてしまいます。受給額が少ないだけではなく、受給資格期間も満たない場合は、受給自体できなくなります。もしものときの遺族年金や障害年金は、免除申請をして認められていれば受給できます。

3.後から免除期間分の保険料を払うこともできる

免除期間中の老齢年金も受給できますが、その金額はもちろん満額ではないので少なくなります。未納で受け取れないよりは少なくても嬉しいですが、免除期間分の保険料は、さかのぼって10年は追納可能で支払うことができます。 免除申請したときは失業中だったものの、再就職し支払える状況になったら、将来貰える年金の額を増やすために、免除期間中の保険料を払うことができます。保険料を追納すれば、もちろん将来受給できる年金額も上がります。

デメリット

1.受け取れる年金は当然少ない

通常65歳から受け取れる老齢年金は、20歳から長期に渡って納めた金額と、期間によって異なります。免除申請をすると、支払う額が少ないので、もちろん受け取れる金額は少なくなります。満額に比較するとそうですが、免除申請もせずに未納期間が続いたわけではないので、受給できないよりは少なくても助かります。 受け取れる金額が少なくなることがデメリットだと思うときは、支払える状況になってから、その免除期間の分の保険料を納めましょう。追納することで、受給できる金額は多くなります。

2.追納する場合に加算金が発生

免除期間中の年金保険料を、さかのぼって10年以内であれば追納の申請をし、払うことが可能ですが、加算金が少額ですが発生してしまいます。それでも将来受け取る金額を増やそうと、支払う方もいます。 加算金は月で100円〜200円です。免除が決まった次の年から、3年以降に発生します。加算金の金額としては少ないので、将来の受給額のことを考え、免除分の支払いをしてもいいでしょう。もちろん自分で決めることができますので、将来受け取る額は少なくても、免除にしてもらった分は、そのまま支払いはしないという考えもあります。

免除以外の制度

保険料支払いの猶予

支払うことが厳しくなった場合には、免除ではなく猶予(ゆうよ)を希望することもできます。今払えなくても、時期を伸ばしてもらい支払いをすることです。20歳以上50歳未満であれば申請が可能で、審査により、1年ごとに猶予されます。 猶予期間中も免除と同じで、年金受給資格期間に加算されますので安心です。猶予の審査も、一定額の基準の所得などの条件がありますので、申請書を提出します。障害年金や遺族年金の受給資格期間にも加算されますが、将来受け取る老齢年金の受給額が増えることなどはありません。支払いできる目安がついているなら、免除ではなく、猶予という考えもあります。まずは、窓口で相談してみましょう。

保険料の追納

現在納付できなくても、追納することで、老齢年金の年金額を増やすことが可能です。猶予や免除では、将来受け取る年金が低くなってしまいますので、余裕ができたら追納することもよいでしょう。 年金事務所で申し込みをすると、納付申込書を渡されるか郵送されてきます。必要事項を記載し提出すると、納付書が送られてくるので支払いましょう。さかのぼって10年以内の免除などは、追納することができます。 また、学生のときに「学生給付特例制度」を受けていた方も、社会人になり支払うことができるようであれば、追納すると、老齢年金の受給額が増えますのでおすすめです。

退職による特例制度

免除になるかどうかの審査は、前年度の本人の所得が基準となり審査されます。しかし、前年度は所得があったけれど、会社がいきなり倒産してしまったり、どういった理由であれ失業してしまい、現在は収入がないので、年金保険料を払えないという場合のために、退職による特例制度が設けられています。 通常、前年度の本人の所得と配偶者の所得、世帯主の所得が審査基準ですが、この退職による特例免除は、本人所得の審査が省かれます。保険料全額免除された期間でも、老齢年金は1/2支給されます。退職したら、次の就職が決まるまでは、国民年金の加入申し込みをする必要がありますが、まずはこの特例制度の申請をおすすめします。

保険料の支払いが厳しい場合は免除等の制度を活用しよう

毎月支払う年金保険料は、厚生年金の場合、給料から引かれているため、気にする方は少ないようですが、失業などで毎月自分で支払うことになれば、負担が大きくなります。将来の老齢年金を受給するためには、きちんと保険料を支払うことが大切ですが、難しい場合は、無理せず免除や猶予などの申請をしましょう。 免除や猶予期間中でも、受給期間に加算してもらえ、老齢年金も受給できますので、申請するメリットがたくさんあります。まずは、年金保険料の支払いが難しくなってしまったら、未納のままにせず、早い段階で年金事務所や市区町村の役所などに、相談してみることから始めましょう。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。