厚生年金保険料の計算方法とは?受給額との関連性を確認しよう

毎月の給与から差し引かれる厚生年金保険料。毎年保険料率は上がり続け、手取り額に影響を与えています。保険料がどのように計算されているか、また将来の年金受給額とどのような関連性があるのかを確認し、自身の保険料と照らし合わせてみましょう。

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厚生年金保険料の決定方法とは

厚生年金保険料の支払い額を計算する方法

毎月の給料から差し引かれる厚生年金保険料。その支払い額は以下のように計算されています。 ☑ 1.標準報酬月額×保険料率 ☑ 2.標準賞与額×保険料率 「標準報酬月額」とは毎月の平均給与額のことで基本的に4月、5月、6月の平均で決定されます。また、「標準賞与額」は実際に支給された賞与額をいいます。また、保険料率は現在まで段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月以降より18.3%で固定されます。 なお、「標準報酬月額」の対象は次のいずれかの条件を満たすものとされています。 ☑ 1.被保険者が自己の労働の対価として受けるものであること ☑ 2.事業所から経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計にあてられるもの つまり、基本給以外にも、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金等、事業所から現金又は現物で支給されるものも対象となるということです。ただし、見舞金等臨時に受領するものは対象となりません。 ちなみに、厚生年金保険料は会社の折半で支払っていますので、実質的な保険料率は9.15%となります。

標準報酬月額は4月〜6月の平均給料で決まる

標準報酬月額は前述のとおり4月〜6月の平均給料で国が決定します。給与に大幅な変動がない限り、原則的年1回の月額見直しとなります。ここで注意が必要なのが、4月〜6月までの給料を単に3で割った額が平均給料になるわけではないということです。その3で割った額は「標準報酬月額表」という一定の範囲で等級分けされた表に当てはめて決定されるのです。この「標準報酬月額表」は日本年金機構のHPで確認可能です。 ちなみに、4月〜6月までの期間に残業が多いとその分支払う厚生年金保険料の額が大きくなります。その場合、支払っている保険料額が多いほど将来受給できる年金の金額も上昇しますので一概に損をしている訳ではないということは覚えておいてもよいでしょう。 なお、標準報酬月額の決定方法には以下のものがあります。参考にしてください。

1.資格取得時の決定

従業員が被保険者としての資格取得時報酬に基づいて、一定方法により報酬月額を決定する方法。

2.定時決定

毎年7月1日現在で使用されている事業所において、4月〜6月に受けた報酬の合計額を3で割って報酬月額を決定する方法(上記で確認した方法です)。

3.随時決定

被保険者の報酬が昇給などにより著しく変動があった場合において、厚生労働大臣が必要と認めたときに改定する方法。

4.育児休業等修了時の改定

育児休業終了日の翌日が属する月より3ヶ月間に受給した報酬に基づいて、翌月以降から標準報酬月額が改定される方法。 ※厚生年金保険料を含む社会保険料について、育児休業等(満3歳未満の子を養育するための休業)の期間においては会社、従業員ともに支払いを免除される制度があります(育児休業保険料免除制度)。 なお、この制度を利用するためには、従業員が育児休業を取得するたびに会社が「育児休業等取得者申出書」という書類を日本年金機構に提出する必要があります。

5.保険者決定

上記1〜4までの算定方法が著しく不当であると認められる場合に厚生労働大臣が算定する額を被保険者の標準報酬月額として決定する方法。

保険料率は18.182%

厚生年金の保険料率は、年金制度の改正により平成16年度より毎年0.354%ずつ引き上げられており、平成29年9月までの保険料率は18.182%でした。そして更に平成29年10月より保険料率は18.3%に引き上げられますが、今回の引き上げで頭打ちとなり、次年度以降は18.3%で固定されることとなります。 なお、総報酬制(給与だけでなく賞与にも多額の保険料がかけられるようになった)導入当時である平成15年4月の保険料率は13.58%ですので、現時点の保険料率と比較すると5%弱引き上げられていることになります。

賞与からも保険料が引かれる

前述しましたとおり、賞与からも厚生年金保険料が引かれます。計算方法は「標準賞与額×保険料率」となっています。なお、標準賞与額とは、税引き前賞与の額から1,000円未満の端数を切り捨てたもので、1回の賞与支給につき、150万円が上限となります。 厚生年金における標準賞与の対象となる賞与とは、労働の対価として受け取る報酬のうち、年3回以下の回数で支給されるものとなり、現物支給もその中に含まれます。年4回以上支給される賞与は「標準報酬月額」の対象となります。

31の等級に応じて保険料が決定される

標準報酬月額は現在、1等級(8万8,000円)〜31等級(62万円)までの31等級に区分されています。4〜6月の平均給与を標準報酬月額区分表(給与を一定の幅で区分した表)に当てはめることで、ご自身の標準報酬月額を見つけることができます。なお、この標準報酬月額は保険料だけでなく、年金の計算にも利用されています。

保険料が多いほど受給額が高い

厚生年金は支払う保険料が多ければ多いほど、受給額が高くなる「報酬比例」の年金です。 計算式は「平成15年3月31日以前の被保険者であった期間の平均標準報酬月額×7.125分の1,000×被保険者期間の月数」に「平成15年4月1日以降の被保険者で会った期間の平均標準報酬月額×5.481分の1,000×被保険者期間の月数」を足した額となります。 「平均標準報酬月額」とは簡単にいうと現役で勤務していた時の平均給与のことです。平成15年4月1日前後で計算方法が異なるのは、この時期に「総報酬制」が導入されたことが原因です。「平均標準報酬月額」は平成15年4月以降の賞与も含めた金額となります。 現在、厚生年金の平均受給月額は男性で18万円、女性で9万円であり、平均で14万5,000円を受給しているというデータがあります。男女差が大きいのは単純に男性の方が勤務年数が長いからという理由です。 さて、ご自身で実際に受給できる年金額については、日本年金機構のねんきんネットというサイトにて簡単に計算が可能です。一度確認してみてください。

厚生年金保険料を計算するときのポイント

年金機構のHPで確認する

厚生年金保険料の計算において、基本的には「標準報酬月額」及び「標準賞与額」が分かれれば、後は年金機構HPにある「標準報酬月額区分表」を確認すれば、厚生年金保険料を簡単に確認できる仕組みとなっています。 しかし、「標準報酬月額」と「標準賞与額」は自身で計算する必要があります。対象となる報酬の範囲や限度額、現物給付はどのように取り扱うのか、海外勤務者に対する報酬の取り扱いはどうするか、その他最新の必要情報が記載されていますので、厚生年金保険料の計算を行う際は必ず年金機構のHPで確認するようにしましょう。

実際に支払うのは保険料の半分

厚生年金保険料は会社と折半して支払っています。具体的には会社が従業員の給与から従業員が負担する厚生年金保険料分を差し引き、会社負担分及び従業員負担分の保険料を併せて、日本年金機構(年金事務所)に支払っているのです。 なお、会社は最初に従業員負担分の保険料負担を計算することとなりますが、その際銭単位の端数が出た場合には、50銭以下は切り捨て、51銭以上は切り上げて従業員の負担分を計算しています。 また、厚生年金保険料は必ず労使折半にすることが法律に定められています(厚生年金保険法82条)。なので、もしご自身で計算された保険料と給与からの天引き額に大きな相違がみられる場合は会社あるいは年金事務所に確認してみましょう。

保険料率の改定は翌月から適用される

今まで、毎年9月保険料率の改定があり、直近では平成29年9月に保険料率の引き上げが行われています。その際どの給与分から新しい保険料率が適用されるのでしょうか。 結論から申し上げると、10月分の給与から、新保険料が適用されることになります。というのは基本的に10月分の給与から天引きする保険料が9月分の保険料であるからです。 ただし例外があり、9月分の給与から9月分の保険料を天引きしている会社については9月天引き分から新保険料率で算出された保険料が適用されることとなるので注意が必要です。 従業員の給与手取りにもかかわる事項です。会社と従業員との信頼関係にもかかわり問題ですので絶対にミスはしないように気を付けなければいけない事項ですね。手計算ではミスも考えられますので、給与計算ソフトや外部専門家に依頼するなども選択肢です。ご自身がお勤めの会社がどのように保険料を計算されているか調べるのもよいかもしれません。

計算ミスを見つけたら年末調整で調整する

さて、絶対にミスは許されない保険料の計算ですが、もし会社が保険料の計算ミスをしていた場合はどのように対応して貰えるのでしょうか。基本的には保険料が多く徴収されていた場合には、会社に過払分を請求できますし、少なく徴収されていた場合には従業員側が支払いできていない分を支払う必要があります。 会社側の対応としては、次の月の給料で清算するパターンが多いようです。なお、会社からの社会保険料の天引きが不足していた場合でも、その分を清算すれば、年末調整時の社会保険料控除に含めることができます。

正確な標準報酬額は会社に確認する

標準報酬額の計算は会社が行っていますので、実際ご自身の給料から天引きされている保険料にかかる標準報酬月額を調べる場合、会社に確認するのが一番手っ取り早いです。出産手当金申請の場合など標準報酬額を調べなければいけない場面がある方もいらっしゃると思いますので、そのときは会社の給与担当者に標準報酬額を聞いてみましょう。

将来のために保険料の支払額を把握しておこう

今まで確認してきた通り、厚生年金保険料は将来の年金の受給のために支払っている保険料です。現在では65歳から受給開始となっていますが、一体いくらの年金が受給できるか計算したことのある方はわずかでしょう。 老後に必要な資金は約3,000万円といわれていますが、現在の保険料支払いの水準で実際にどれだけの年金が受給できるかを知ることは老後の人生設計に必要不可欠です。インターネット上には簡単に将来の年金受給額が確認できるサイトも用意されています。お時間のある時に一度確認してみてください。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

エクセライク保険株式会社 代表取締役。2018年MDRT会員取得。
会計事務所の経営を通じ1,000社を超える顧客の税務/会計/保険/資産運用の相談に対応。
通常の代理店ではみれない顧客情報を扱っていることから、豊富な引出しを有し多くのお客さまから支持を集めている。